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傀儡女 クグツメ (遊び女)―後篇 [コラム]

女帥
 素敵ですね。
 遊郭は、中国でできて、吉原も元々は京都でできたのですか、中国に倣ったそうですね。幻想的な桃源郷のような世界を憧れるのは女性も同じです。


軍帥
 吉原よりも前に京都の島原とか大阪の新町とかがあった。吉原はその後だが、吉原を作った庄司甚右衛門という侍崩れが特異な人物で、甚右衛門が自分の理想とする桃源郷を吉原として作ったのだよ。


女帥
 この庄司甚右衛門って、ものすごくカッコいいの。もう男として全てが揃っていて最高、とお姉ちゃんは思いました。強いしハートが暖かい、踊りも神域なの、現実力もあるし。庄司さんに開いてもらった吉原は、今まで想像していた吉原と全然違います。


軍帥
 吉原も時代が経つにつれて変質した。江戸幕府も次第に傀儡子潰しをやっていったから本当の傀儡子は人数が減り、遊び女も常民が金で売られて来た遊女に変った。常民の女性は傀儡女(クグツメ)のような、おおらかさが無い只の人間だから、吉原も悲惨な所に変ってしまった。


女帥
 そうなんですか。人々のイメージとしても失われてきています。今は「遊び女」がどんな人のことかわからない人も多いと思います。初めの頃の吉原は、別世界、別世界、桃源郷だったようで。その中にいた花魁は、本当に花そのものですね。有名な高尾という名は、何名もいたのですか?


軍帥
 いや高尾は一人だ。固有名詞というか固有の源氏名だ。


女帥
 小説には、仙台高尾と書いてありましたので、何名かいるのかと思いました。現代では、このような世界はどこにあるのかしら。心の中にはありますね。三回目で馴染みになって、しっとりと盃を組みかわしたりするのですけれども、その姿が心に浮びました。
 今はなかなか忙しくて、誰もしっとりとした時間を持てないです。おいちゃんの目指す世界は? そういえば先日「歌嬥(カガイ)」とかおっしゃってました。

 
軍帥
 現代社会は常民の社会だ。傀儡子の棲める場所じゃない。一から百まで社会常識という規制が課せられている。くだらねえ。常民は自分と同じ相手じゃないと恐れて敬遠する。傀儡子は逆だ。変った奴だな、と思わぬ限りつき合うことをしない。

 歌嬥(カガイ)だが、日本では古代からあった風習で、当時は野に出て男女が歌を交して風流を楽しんだ野遊びだが、これはまだ貴族の遊びだった。もともと の間にあった野遊びを貴族が真做たものだろう。傀儡子の間にも多少のことばのやりとりはあったのかもしれないが、気の合った同士、野原や森でツルんだ。これが歌嬥(カガイ)の元だ。時代が降ると、森の中のお社の祭りの時に若い男女が歌なんか無関係に、その日ばかりは好きになった者同士が森の中や拝殿の上で交わった。その日だけの一期一会だ。

 

女帥
 その日だけ! 本当に常民と違うなあ。その日は常民じゃなくてもいいし、普段常民の意識の人でもはじけられるのかしら。自分などはつくづく常民の意識だと思います。はじけたい、空に突き抜けたい、という憧れは、実際に行動を起さなくても心の中だけでもよろしいものでしょうか? お姉ちゃんロマンチストなんです。


軍帥
 お姉ちゃんは太陽系の主宰神だからな、軌道など一々決っている。傀儡子は彗星だ。彗星も一応軌道はあるが太陽系内々にとどまっている時間は非常に短く、アッという間に宇宙空間に去っていく。太陽系の住民からするとわけの分らぬ輩なのだろう。
 確かにお姉ちゃんは太陽系の主宰神だけれどもその元を辿ればやはり外銀河からやってきた。やって来る前の時の心境がその心の奥に潜んでいる。だから<はじけたい、突き抜けたい!>という心があるのさ。只の常民は太陽系内の記憶しか無いんだから本質は全く違うさ。“心の中だけ”なんて情けねえことを言ってちゃあいけないよ。本当の心は宇宙のどこまでも連なっていっているのだから。それこそ銀河鉄道に乗ればいいのさ。心の“中”というものはない。中は外なんだから。


女帥
 銀河鉄道。じゃあ、銀河鉄道の中で外。

ホロスコープ鑑定

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